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ロタウイルス

ロタウイルスとは

ロタウイルスとはロタウイルスは、乳幼児のウイルス性胃腸炎の原因として最も頻度の高いウイルスです。
5歳までにはほとんど全ての子供が一度は感染するとされています。
非常に感染力が強いため、保育園や幼稚園など、集団生活の場で流行しやすい病気です。
流行時期は冬から春にかけてのシーズンが多く、それ故に「乳児冬季下痢症」と呼ばれることもあります。

ロタウイルスの症状

ロタウイルスで一番よくみられる症状は水様便で、3~7日ほど続きます。

  • 嘔吐
  • 発熱
  • 水のような下痢(クリーム色、白色)
  • 食欲不振

ロタウイルスの原因・感染経路

感染経路

主な感染経路は糞口感染です。
感染者の便や嘔吐物を処理した後の手洗い・消毒が不十分だと、ウイルスが周囲に広がる原因となります。
ウイルスは感染後も数週間にわたり便から排出されるため、家庭内でも十分な感染対策が求められますが、非常に感染力が強く、わずかなウイルス量で感染するため、衛生環境に関係なく感染予防が難しい感染症でもあります。
流行時期は毎年3〜5月頃で、保育施設や学校などでは集団感染が起こることも少なくありません。
感染は繰り返すことがありますが、回数を重ねる毎に免疫がつき、重症化しにくくなります。年長の子供や成人では重症例は少ないものの、免疫が低下している方や感染者の保護者、高齢者は感染するリスクがあり、注意が必要です。
実際に、ロタウイルスに感染した子と接触した成人のうち、30~50%が感染すると報告されています。

潜伏期間

ロタウイルスの潜伏期間は1~3日程度です。潜伏期間が終わると、3~7日間にわたり、下痢や嘔吐が続くことがあります。

ロタウイルスの検査と診断

ロタウイルス感染症の診断は、患者様の症状、ご家族を含む周囲の感染状況などを総合的に判断して進めます。ただし、症状のみではロタウイルスと確定することはできません。
最も行われている検査方法は、便を用いた迅速診断検査(イムノクロマト法)で、検査結果はおよそ15~20分でわかります。
なお、この迅速診断検査では、一部のロタウイルスが検出できない場合もあるため、感染していても陰性となるケースがあります。

ロタウイルスの治療方法

ロタウイルス感染症には、現在のところ有効な抗ウイルス薬はなく、抗生物質も効果がありません。
また、下痢止めは症状の回復を遅らせることがあるため、服用は勧められません。
治療では、脱水予防のための水分補給や、体力の消耗を防ぐための栄養補給が行われます。特に、乳幼児は脱水症状を起こしやすいため、水分補給には注意が必要です。水分を摂ってもすぐに嘔吐してしまう、尿の回数が極端に少ないなどの症状がある場合には、医療機関での点滴治療が必要になることがあります。

ロタウイルスの合併症

ロタウイルス感染症では、合併症として痙攣や肝機能異常、急性腎不全、脳症・脳炎、心筋炎などが報告されています。
重症化した場合には、命に関わるケースもあるため注意が必要です。
意識が不安定になったり、意識レベルが低下したり、痙攣したりするなどの症状が現れた際には、速やかに医療機関へ受診してください。
特にロタウイルスによる脳炎・脳症には、難治性の痙攣を伴うことが多く、後遺症が残る可能性は約38%とされています。報告例では、1~2歳児に多く見られ、これは急性胃腸炎の好発年齢とも一致しています。

ロタウイルスを予防するにはワクチン接種を

ロタウイルスを予防するにはワクチン接種を予防にはワクチン接種が有効です。
ワクチンには2種類があり、生後2か月から6か月の間に2〜3回、経口で接種することで、約80%の予防効果が期待されています。
また、日常的な予防策として、こまめな手洗いや消毒などの衛生管理を徹底することも、感染拡大を防ぐのに極めて重要です。

日常生活でできる予防

手洗い・うがい

帰宅後やトイレの後には、特に丁寧な手洗いを心がけましょう。なお、手洗いだけでは、爪の間などにウイルスが残ることがあるため、アルコール消毒液を併用して予防に努めると良いでしょう。

手に触れるものの消毒

ロタウイルスは乾燥した環境でも約10日間生存するほどの耐久性があります。そのため、ドアノブや照明スイッチなど、手に触れやすい場所は、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムでこまめに消毒することが重要です。
トイレや浴室も定期的に掃除し、清潔な状態を保ちましょう。また、調理器具や食器は、熱湯で1分以上加熱することで殺菌効果が期待できます。

二次感染予防

ロタウイルスは他のウイルスと比べて非常に感染力が強く、消毒用アルコールでも完全に除去できない可能性があります。症状が治まった後でも、便の中に1~2週間ほどウイルスが残っているため、大人にもうつることがあります。
汚染された場所は薄めた塩素系消毒剤でこまめに清掃し、室内の換気も十分に行いましょう。
また、感染者の排泄物を処理する際には、マスクや手袋を着用するなど、衛生的な配慮が必要です。