- おたふく風邪とは
- おたふく風邪の症状
- おたふく風邪はどうやってうつる?
- おたふく風邪の検査
- おたふく風邪の治療方法
- おたふく風邪の合併症
- おたふく風邪にかかったら5日は出席停止
- おたふく風邪はワクチン接種で予防しましょう
おたふく風邪とは
おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスによって引き起こされる感染症です。
幼児から小学生にかけてよく見られます。一度感染すると免疫がつくため、多くの場合再発はありませんが、発症時には強い痛みや高熱が出ることがあり、稀に合併症が出ることもあります。
「自然に治るから心配ない」と油断せず、適切なケアや予防対策を心がけましょう。
おたふく風邪の症状
潜伏期間は2〜3週間とされており、以下のような症状が現れます。
耳下腺の腫れ
代表的な症状で、顎の下あたりが片側または両側に腫れます。痛みを伴う場合があります。
発熱
発症初期にはよく38℃前後の熱が出ます。
飲み込む時痛い
酸っぱいものや固い食べ物を口にした際に痛みを感じます。重症になると、口が開かなくなる開口障害が生じることもあります。
その他
稀に、精巣炎や卵巣炎、膵炎などの腫れを伴う合併症が現れることがあります。
また、心膜炎や腎炎、髄膜炎、神経障害、難聴などの続発症を伴うこともあります。
症状は通常、1週間前後で落ち着きますが、高熱が続く場合や、強い腹痛などの異常がある場合は、迷わずにご相談ください。
おたふく風邪はどうやってうつる?
おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は感染力が非常に強く、感染したお子さんと接触することで、兄弟姉妹や園・学校のお友達にもうつってしまう恐れがあります。
感染経路
飛沫感染
咳やくしゃみ、会話などにより、ウイルスが飛び散ることで感染します。
接触感染
ウイルスが付着した手で、目や口に触れることで感染が起こります。
潜伏期間とうつる期間
潜伏期間
比較的長く、約16~18日の潜伏期間があります。
うつる期間
発症の約2日前から耳下腺の腫れが和らぐまで(通常5〜7日ほど)感染力を持っています。
そのため、症状が緩和されるまでは登園や登校を控え、ご自宅で療養に専念しましょう。
おたふく風邪の検査
おたふく風邪の確定診断には、血液検査による抗体価の測定が必要です。しかし、検査結果が出るまでにはおよそ1週間かかるため、初診の段階でおたふく風邪と診断することは難しいのが現状です。
そのため、通常は血液検査まで行わず、以下のような点を参考に診断することが多くあります。
- 職場・学校・幼稚園などで流行している
- これまでに罹ったことがなく、予防接種も未接種である
- 左右の耳下腺や顎下腺など、複数の唾液腺が腫れている
なお、耳下腺などの唾液腺には、ムンプスウイルス以外にもさまざまなウイルスや細菌が感染する可能性があります。そのため、おたふく風邪と診断された場合でも、血液検査が行われていない場合は、別の原因による腫れである可能性も否定できません。また、一度罹患したとされているにもかかわらず、再び発症した場合は、過去の診断が誤診だった可能性も考えられます。
おたふく風邪の治療方法
おたふく風邪には特効薬がないため、治療は対症療法しかありません。
薬物療法
発熱時にはアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの解熱剤を使用して、熱を下げましょう。また、鎮痛剤は痛みを緩和させるのに有効です。
冷却
腫れた耳下腺には、冷却パックや冷却シートを当てて腫れを和らげましょう。
安静
体調不良の時には無理をせず、体を十分に休ませましょう。
おたふく風邪の合併症
おたふく風邪は「軽い病気」と思われることが多いですが、実は合併症や後遺症の発生率は高いため、注意が必要です。
脳・髄膜炎
おたふく風邪の合併症の中でも最も重篤とされるのが、脳炎や髄膜炎です。精神的な混乱や神経症状を伴い、稀に後遺症を抱えることもあります。年齢が高くなるほど、髄膜炎の症状が重症化する傾向があります。
ムンプス難聴
頻度こそ高くありませんが、一度でも聴力が低下すると回復が難しくなるケースが多いため、慎重な経過観察が必要です。
ムンプス精巣炎
成人男性がおたふく風邪を発症した場合、約25%の方が精巣炎を合併するとされています。この精巣炎が原因で、男性不妊に繋がることもありますので、早期の対応が重要です。
卵巣炎
成人女性の場合、約7%の割合で卵巣炎を合併する可能性があります。特に妊娠初期におたふく風邪を発症すると、流産のリスクが高まることがあるため、妊娠中の感染には十分な注意が必要です。
おたふく風邪にかかったら5日は出席停止
多くの保護者の方が登園・登校の再開時期を気にされるポイントかと思います。
厚生労働省のガイドラインでは、「耳下腺の腫れが始まってから5日を経過し、かつ全身状態が良好であること」が登園・登校の目安とされています。
一般的には、発症から1週間〜10日程度が1つの目安となりますが、実際の判断は医師の診察に基づいて行うことが望ましいです。
おたふく風邪はワクチン接種で予防しましょう
おたふく風邪の予防には、ワクチンの接種が有効です。特に、幼児期に定期接種を受けておくと、発症のリスクを大きく減らすことに期待できます。
おたふく風邪は軽症で済むことが多いものの、合併症を引き起こす可能性もあるため、予防接種によって重症化を防ぐことが大切です。
また、異常が見られた場合には、早めに医療機関へ受診し、適切な診察と治療を受けましょう。