チアノーゼとは?どんな症状?
チアノーゼとは、皮膚や粘膜が青紫色になってしまう症状を指します。
血液中の酸素が不足することで起こり、口唇や手足の先などに現れやすいです。特に呼吸器や循環器に異常がある場合に見られることが多く、注意が必要です。
チアノーゼが現れやすい場所
- 唇
- 舌
- 鼻の先
- 耳のふち
- 爪の下の皮膚、生え際
- 手足の指先
チアノーゼが起こる時の特徴
チアノーゼの典型的な症状は、皮膚や粘膜が青紫色に変化することです。
軽度の場合は色の変化が僅かで、気づきにくいこともあります。重症になると青紫色がより鮮明になり、広範囲に広がることがあります。
同時に現れやすい症状
チアノーゼ単独で現れることはあまり見られません。多くの場合、他の身体的な症状と一緒に見られます。
- 息苦しさや息切れ
- 動悸や脈の乱れ
- 体のだるさや疲れやすさ
- めまいや、気を失いそうになる感覚
- 頭痛や意識がぼんやりする状態
チアノーゼが起こる時の特徴
チアノーゼの原因は多岐にわたりますが、主に心臓や肺の働きに異常があると起こりやすいとされています。
チアノーゼを発症する仕組み
チアノーゼは、血中で酸素と結合できていないヘモグロビンの量が増えることで生じます。
通常、動脈血中にある酸素と結びついていないヘモグロビンの濃度は1.5g/dL未満ですが、この値が3.0g/dL以上になると、皮膚や唇などの粘膜が青紫色に変化します。
これは、体に必要な酸素の量に対して、酸素の供給量が不足している状態を示しています。
酸素が不足する原因は、大きく分けて、心臓や肺など体の中心部で起こる「中枢性」と、手足など体の末端で起こる「末梢性」の2つがあります。
酸素が不足する原因
発達障害の有無には、遺伝的な要因が関係しているのではないかと言われています。ただし、親が発達障害である場合でも、必ずしも子供に遺伝するとは限りません。また、親子間だけでなく、兄弟間においても遺伝的な要因が関係していると考えられています。実際に、広汎性発達障害の一卵性双生児における一致率は60〜90%と報告されており、遺伝因子の影響が強く、遺伝率は約90%とされています。
とはいえ、遺伝的な要因はあくまでも一因であり、実際には「遺伝的要因」と「環境的要因」が複雑に関係し合って発達障害が現れると考えられています。
中枢性チアノーゼ(肺や心臓の問題)
中枢性のチアノーゼは、肺できちんと酸素を取り込めない場合や、心臓の構造に問題があって酸素の少ない血液と多い血液が混ざってしまう場合に発症します。原因となる病気として、以下のものが挙げられます。
- 長期間続く肺の病気(慢性閉塞性肺疾患)
- 肺炎
- 肺に水が貯留する病気(肺水腫)
- 先天性の心臓の病気(心室に穴が開いているなど) など
末梢性チアノーゼ(手足などの血流に問題)
末梢性のチアノーゼは、体の一部分で血液の流れが低下したり、その部分で使用される酸素の量が急に増えたりすることで発症します。主な原因としては、血管が縮むこと(寒さで指先が白くなるレイノー現象や、体が冷えすぎた状態)、血液の流れが悪くなること(足の深い静脈に血の塊が形成される病気や、手足の動脈が詰まる病気)、体の代謝が過剰に活発化すること(甲状腺の機能が強過剰になる病気)などが挙げられます。
血液性チアノーゼ(ヘモグロビンの異常)
ヘモグロビンの異常によって起こります。多くの場合、中毒性あるいは薬剤性の「メトヘモグロビン血症」が原因であり、先天性のものは滅多に見られません。
新生児期にチアノーゼを引き起こす病気
- ファロー四徴症
- 完全大血管転位症
- 三尖弁閉鎖症
- 呼吸窮迫症候群
- 肺動脈閉鎖症
- 新生児一過性多呼吸
- 気道閉鎖
- 先天性食道閉鎖
- 胃食道逆流症
- ミルクアレルギー
チアノーゼが起こったときの検査
視診・触診
まずは視診と触診を行います。唇、舌、口腔内粘膜、爪床などの色調を観察し、特に舌や口腔粘膜の青紫色の変化に注目することで、中心性か末梢性かを見分けます。触診では、皮膚の温度や湿り気、手足の脈拍の有無や強さを確認し、酸素の取り込み不足か血液循環の問題かを判断します。中心性チアノーゼでは舌や口腔粘膜が青紫色になりますが、末梢性ではこれらの部位は通常の色で、手足の先に青紫色が見られます。
酸素飽和測定・ガス交換評価
パルスオキシメーターを使い、指先などから経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)を測定します。SpO₂が95%を下回る場合は、酸素が十分に行き渡っていない低酸素血症の可能性があるため、さらに詳しい検査を行います。動脈血ガス分析(ABG)は、チアノーゼの原因を調べるための検査で、動脈血中の酸素分圧(PaO₂)、二酸化炭素分圧(PaCO₂)、pH、重炭酸イオン濃度などを測定します。PaO₂が60 mmHg未満、または酸素飽和度(SaO₂)が90%未満の場合は、医学的に問題のあるチアノーゼと判断されます。
心肺の機能評価
チアノーゼの原因として心臓や肺の病気が考えられる場合、これらの臓器の機能を評価します。まず聴診器を使用して心臓の音や肺の音を調べ、不整脈、心雑音、肺のゴロゴロした音や喘鳴(ゼーゼーした音)がないかチェックします。必要な方には心臓エコー検査を実施し、心臓の形や働きに異常がないかを調べます。
主な検査項目としては、聴診(心臓や肺の音の異常)、心電図(心拍の乱れや酸素不足の有無)、胸部レントゲン(心臓のサイズや肺の異常な影がないか)、心臓エコー(心臓の形と働き)などがあります。
その他
検査結果を踏まえて、チアノーゼの原因となる病気を特定します。確定診断のためには、疑われる病気に応じた専門的な検査が必要です。具体的に言えば、生まれつきの心臓の病気が疑われる場合は、心臓カテーテル検査や造影剤を使ったCT検査を行います。肺の病気の可能性がある場合は、肺の機能を調べる検査や胸部CT検査、肺の血流を調べる特殊な検査を実施します。血液の病気の可能性がある場合は、メトヘモグロビンの濃度を測る検査や、ヘモグロビンの種類を調べる検査を実施します。
チアノーゼの治療方法
チアノーゼの治療では、根本的な原因となっている病気へアプローチすることが重要です。多くの場合、心臓や肺に関わる問題が隠れているため、専門医による適切な治療が必要です。
酸素吸入
治療の第一歩としては、酸素を吸入して血液中の酸素濃度を高めることから始めます。ただし、酸素吸入だけでは根治にはならないため、原因となる病気に応じた治療を並行して行う必要があります。
例えば、先天性心疾患の場合は手術によって心臓の構造を修復します。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合は、気管支を広げる薬(気管支拡張薬)を使用します。肺塞栓症では、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を使って治療します。メトヘモグロビン血症という、血液中に特殊なタンパク質が増える病気の場合には、メチレンブルーという薬を使用します。
薬物療法
原因となる病気や患者様の体の状態に応じて、使用する薬を選択します。例えば、慢性閉塞性肺疾患が原因でチアノーゼが起きている場合には、気管支を広げる薬や炎症を抑える薬を処方します。
一方で、心臓の働きが弱くなってチアノーゼが生じている場合には、尿の量を増やす効能のある薬(利尿薬)や心臓への負担を軽減させる薬(ACE阻害薬)などを用いて治療します。また、メトヘモグロビン血症によるチアノーゼには、メチレンブルーという薬が有効です。薬の効き方には個人差があるため、定期的に経過を観察しながら、薬の量や種類を調整していくことが大切です。
手術
特に、先天性心疾患の中でも青チアノーゼ型心疾患では、心臓の形を正常に近づけるための手術が治療の中心となることが多くあります。具体的な例としては、ファロー四徴症という病気があり、この場合には心臓の中にある穴を塞ぎ、肺に血液を届ける血管の狭い部分を広げる手術を実施します。
また、重度の肺の病気があり、かつ他の治療法では改善が難しいと判断された場合には、肺の移植手術を検討することもあります。
手術の主な対象となる疾患には、複雑性先天性心疾患、重度の肺高血圧症、進行性の肺の病気、大動脈解離などがあります。