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ダニアレルギー/食物アレルギー

ダニアレルギー

ダニアレルギーダニを原因とする結膜のアレルギー性疾患です。体の中に侵入したダニに対して免疫機能が反応し、アレルギー症状が引き起こされます。生きたダニだけでなく、夏から秋にかけて増えたダニの死骸や糞が粉となって空気中を漂うことで、1年を通じて症状が現れる点が、季節性の花粉アレルギーとは異なる特徴です。
また、ダニは咳や鼻水、目のかゆみなど、日常生活に支障をきたす様々なアレルギー症状の原因にもなります。お子さんが辛い症状を抱える前に、早めの対策と適切な治療を心がけましょう。

症状

ダニによるアレルギーは、スギ花粉のように季節限定ではなく、年間を通して症状が出る可能性があるのが特徴です。ダニアレルギーによる症状は、年齢や体質によって異なりますが、主なものは以下の通りです。

くしゃみ、さらっとした透明な鼻水、鼻詰まり

目のかゆみ、涙が出る、充血

皮膚

アトピー性皮膚炎の悪化、湿疹、かゆみ

呼吸器

咳、喘息発作

原因

夏に繁殖したダニの死骸やフンは、乾燥すると0.01mm以下の微細なチリとなります。これを呼吸によって体内に入り込むことがダニアレルギーの原因になります。ダニは髪の毛やホコリを好んで食べるため、こまめな掃除で清潔な環境を保つことが大切です。

治療方法(舌下免疫療法)

5〜6歳以上のお子さんでしたら、舌下免疫療法による治療が可能です。この治療は、アレルギーの原因物質を少量ずつ体内に取り入れて慣らしていく方法で、症状の根本的な改善を目指すのに有効です。
薬を舌の下に一定時間保持することで作用するため、ご自宅での服用が可能です。また、副作用も少ないとされています。
初回の服用は、アレルギー反応の有無を確認するために当院内で行い、2回目以降はご自宅での服用になります。通院は月に1回程度、症状の経過や服用状況の確認のために行います。
舌下免疫療法は、咳止めや目薬といった対症療法とは異なり、アレルギー体質そのものに働きかける治療法です。継続的に行うことで、症状の軽減やコントロールが期待できます。
治療を始めるには確定診断が必要ですので、舌下免疫療法をご希望の方は、ぜひ当院までご相談ください。

ダニアレルギーの対策

換気

ダニは高温多湿な環境を好み、室温25℃・湿度60%を超えると急激に繁殖します。こまめな換気や除湿機の活用で、ダニが繁殖しにくい室内環境を整えましょう。

こまめな清掃

ダニは、人の皮膚の角質片やフケ、カビ、ホコリなどをエサにします。月に1回程度は家具の裏や隙間までしっかり掃除し、エサとなるものを残さないよう心がけましょう。
特に、秋はダニの死骸やフンが増える時期です。朝一番に、ウェットタイプの床クリーナーで水拭きするのをお勧めします。掃除機がけや窓を開ける前に水拭きをすることで、ハウスダストの舞い上がりを防げます。

ダニの巣をなくす

布製ソファやカーペット、ぬいぐるみはダニの巣になりやすいため注意が必要です。床はフローリングに、ソファはナイロンや革製にするなど、掃除のしやすさも考慮して環境を整えましょう。ぬいぐるみの数も必要最低限に抑えることもお勧めできます。
さらに、室内に置いた観葉植物もダニの発生源になることがあります。観葉植物はベランダや玄関先など、屋外のスペースに置くようにすると良いでしょう。

食物アレルギー

食物アレルギー食物アレルギーとは、特定の食材を摂取した際に体が過敏に反応し、アレルギー症状が現れる状態です。年齢を問わず発症しますが、特に乳児期に多く見られ、成長するにつれて徐々に減っていく傾向があります。
これは、乳幼児期にアレルギーを持っていた場合でも、成長と共に少しずつその食材を摂取できるようになるためです。離乳食から幼児食に進むにつれて食べられる食材が増えるため、それに伴ってアレルゲンの種類も多様化していくのが特徴です。

症状

鼻・目・口

くしゃみ、透明な鼻水、鼻づまり
目のかゆみ、涙目、充血など
口の中や唇・舌の違和感、喉のイガイガ感や腫れ

皮膚

発疹、赤み、かゆみ、蕁麻疹、むくみ

呼吸器

咳や声枯れ、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)、喉が腫れて締めつけられるような感覚、息苦しさ

消化器

腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、血便(重症時)

神経

頭痛、元気がなくなる
排尿や排便がスムーズにコントロールできなくなるなど

循環器

脈拍が速くなる・不規則になる・脈として触れない
手足の冷え、唇や顔が青白くなる(チアノーゼ)

アナフィラキシー

上記の症状が複数重なり、全身の状態が急激に悪化する「アナフィラキシー」が発生することがあります。血圧の低下や意識低下などの意識障害を伴うと、「アナフィラキシーショック」と呼ばれ、緊急の対応が必要です。

原因

食物アレルギーの多くは、原因となる食材(アレルゲン)に対して体内でIgE抗体が作られることで発症します。通常、体にとって必要で無害なタンパク質に対しては、消化管や免疫の複数の防御機構が働き、不要なIgE抗体が生成されないようにコントロールされています。
しかし、これらの仕組みが体質的に弱かったり、免疫機能が未熟なままだったりすると、IgE抗体が生成され、食物アレルギーに繋がるのではないかと考えられています。
また、食物アレルギーは食べること以外でも、原因となる食物に触れたり吸い込んだり、注射などによって体内に入り込んだりすることで症状が現れるケースもあります。

検査方法

血中抗原特異的IgE抗体検査や皮膚プリックテストは、アレルゲンとなる食材を特定するための補助的な検査です。食物アレルギーの確定診断には、医師の問診とともに「食物経口負荷テスト」が必要とされています。

血液検査

血液を採取して、特定の食物に対して体内で作られるIgE抗体の量を測定する検査です。値が高いほど、その食材に強く反応している可能性を示します。ただし、検査結果が陽性でも、実際に食べた時に必ずしも症状が出るとは限りません。確定診断には、この結果を基に「食物経口負荷試験」を受ける必要があります。

プリックテスト

アレルゲンを含む検査液を皮膚(主に前腕部)に置いた後、専用の針で軽く皮膚を刺す検査です。反応がある場合は、刺した部位が赤く腫れるなどの症状が現れます。痛みが少なく、小さいお子さんでも安心して受けられますが、こちらもあくまで補助的な検査です。確定診断には食物経口負荷試験が必要です。

食物経口負荷試験

実際にアレルゲンの可能性がある食材を少量ずつ摂取し、症状の有無を確認する検査です。食物アレルギーの診断を確定できる唯一の方法です。アレルギー反応が起きた際すぐに対応できるよう、設備の整った医療機関で必ず実施されます。ご自宅では絶対に行わないようにしましょう。

問診

検査を受ける前に、医師による問診が行われます。「何を食べて」「どれくらいの時間で」「どんな症状が出たか」「他に持っているアレルギーはあるか」などの情報からアレルゲンの可能性を絞り込み、検査内容を判断します。そのため、受診するまでの経過はメモなどで整理しておくと、より診察がスムーズに進みやすくなります。

治療方法

食物アレルギーの治療は、原因食材の「必要最小限の除去」と、症状への「薬物療法」の2つに大別されます。

アレルゲンの除去

まずは、アレルゲンとなる食材を特定し、必要最低限の範囲で除去することが基本です。症状の重さや栄養バランスを踏まえて、過度な制限にならないよう医師と相談しながら進めることが大切です。なお、体調不良や疲れがあるときには症状が出やすくなることがあるため、そういったタイミングにも注意しましょう。食物アレルギーは摂取時だけでなく、皮膚や粘膜(気道)への接触でも起こる可能性があります。重症の場合は、石鹸やシャンプー、化粧品などにも配慮が必要です。

症状への薬物療法

現時点では、食物アレルギーそのものを治す薬はありません。ただし、症状を緩和する薬は使うことが可能です。皮膚や粘膜には抗ヒスタミン薬が用いられ、かゆみや赤みなどを抑えます。呼吸器症状には「気管支拡張薬」の吸入や、酸素投与が行われることもあります。
消化器症状が強い場合には、脱水や栄養不足を防ぐため、点滴による補液を検討します。また、ステロイド薬が免疫反応を抑える目的で使用されることもありますが、正常な免疫まで抑えてしまうため、医師の判断が必要です。
アナフィラキシーが疑われる際は、すぐに医療機関へ受診してください。救急要請をすることに対して、ためらう必要はありません。搬送までの間は、足を高くした姿勢や、嘔吐による窒息を避けるために顔を横向きに寝かせるなどの応急対応が必要です。
アレルギー反応が強く出やすい方には「エピペン(自己注射薬)」が処方される場合があります。使用時は、太ももの外側中央に速やかに打つようにしてください。

舌下免疫療法

舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)の効果とは

舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)の効果とは舌下免疫療法は、スギ花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎の治療に用いられる新しい方法で、アレルゲン(アレルギーの原因物質)を少量ずつ舌の下に投与し、体を慣らしていくことでアレルギー反応を緩和していきます。
注射によって治療を行う「皮下免疫療法」に対し、舌下免疫療法はご自宅で服用できるため、通院の負担が少ないのが特徴です。
現在、スギ花粉症及びダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法は保険適用となっています。
治療期間は3〜5年程度の継続が必要で、スギ花粉症では初回の花粉飛散シーズンから、ダニアレルギー性鼻炎では治療開始から数か月後から効果が期待されます。年単位で続けることで、最大約80%の改善効果が得られるとされています。

対象となるアレルギー

  • スギ花粉
  • ダニアレルギー

このような方におすすめです

  • くしゃみ・鼻水・鼻詰まり・目のかゆみなどのアレルギー症状を少しでも緩和したい方
  • 内服薬や点鼻薬の効果に満足できず、他の治療法を検討している方
  • 内服薬の服用により、眠気などの副作用が出てしまう方
  • できるだけ薬の量を減らし、生活への影響を抑えたい方
  • アレルギー症状によって仕事・勉強・スポーツなどの日常生活に影響が出ている方
  • 今後受験を控えていて、眠気が出る薬は避けたい方

治療ができない方

  1. β遮断薬を使用している方
  2. 妊娠中・授乳中の方、65歳以上の高齢者
  3. 症状が安定していない喘息をお持ちの方
  4. 次のような疾患を患っている方:悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫不全症、重い心疾患、肺疾患、コントロールの難しい高血圧症、慢性の感染症など
  5. ステロイド薬や抗がん剤を使用中の方

何歳から始められる?

スギ花粉

スギ花粉の治療薬である「シダキュア錠」は、5歳以上から服用できます。

ダニアレルギー

「ミティキュア錠(鳥居薬品)」と「アシテア(塩野義製薬)」の2種類の薬剤が使用されています。どちらも対象年齢は5歳以上です。
※薬は舌の下に1分間保持する必要があるため、小さなお子さんの場合は、治療が可能かどうか医師にご相談ください。

開始時期と治療期間

基本的に1か月に1回通院していただきます。
まずは、3年間の治療を行うことを推奨しています。症状が徐々に軽くなり、効果が見られる方は、5年以上継続することで、治療後も長期間にわたって症状の抑制に期待できます。
症状が完全に改善しない場合でも、症状の緩和や、薬の使用量を減らす効果が見込まれます。

スギ花粉

6月~12月までの期間に開始できます。
花粉が飛散する1月~5月末までは、副作用のリスクが高まるため、新規の治療開始は行っていません。

ダニアレルギー

季節に関係なく一年を通して、いつでも開始することが可能です。

メリット・デメリット

メリット

  • ご自宅で継続して治療できる
  • 効果がはっきりと現れた場合は、他のアレルギー薬が不要になることもある
  • ・3〜5年間の治療で効果が出れば、終了後も長期的に症状の改善が期待できる

デメリット

  • 治療は3〜5年と長期にわたり、毎日の服用が必要
  • 服用の前後2時間は、激しい運動やアルコール摂取、入浴を控える必要がある
  • 約20〜30%の方には効果が見られないケースもある
  • ヒノキ花粉にはあまり効果が期待できない点もある

副作用

  • 治療の初期には、口の中(口内・唇・舌)や耳の中にかゆみを感じることがある
  • 鼻の症状、唇など粘膜部分の軽い腫れ(浮腫)
このような症状は速やかに受診してください
  • 蕁麻疹
  • 嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状
  • 喘息の発作

注意点

  • 薬の服用後5分間は、うがいや飲食を控えてください。
  • 服用後2時間ほどは、激しい運動や入浴は避けましょう(継続により制限が緩和されることがあります)。
  • スギ花粉症の治療開始は、毎年6月から12月下旬までの期間が適しています(検査・予約は通年可能です)。
  • 治療は原則として3年間以上の継続が必要です
  • 重度の喘息や心疾患をお持ちで、現在服薬中の方は治療を受けられません。
  • 過去に舌下免疫療法で強い副作用が出た方も、治療対象外となります。
  • 稀に、蕁麻疹・喘息発作・嘔吐・腹痛・下痢などの副作用が現れる場合があります。
  • 治療期間中は、定期的な通院が必要です。