💩「うんち出た?」が今日も合言葉 〜こどもの便秘、笑って向き合うために〜
朝の支度でバタバタしているとき、ふと我が子に声をかけます。
「うんち出た?」
——気づけば毎日の合言葉のようになっていませんか?
小児科外来でも、便秘の相談はとても多いものです。実は、こどもの約10人に1人が便秘で悩んでいるとも言われています。
でも、「便秘」と聞くとなんとなく深刻に感じてしまいますよね。
今日は、少しユーモアを交えながら “うんち事情” をやさしく紐解いてみましょう。
■ そもそも、こどもの「便秘」って?
「3日出ていないから便秘」
「毎日出てるけどコロコロしている」
——実はどちらも“便秘”に入ることがあります。
医学的には、
「排便の回数や量が少なく、便が硬い・痛い・出しにくい状態が続くこと」
を便秘と呼びます。
つまり、“毎日出ていてもスッキリ出ていなければ便秘”なんです。
「毎朝少しずつ出てるけど、出すのに10分かかる」なんて子も、実は便秘予備軍かもしれません。
■ どうして子どもは便秘になるの?
原因はさまざまですが、よくあるのはこの3つです。
① トイレに行くタイミングを逃す!
遊びに夢中で「今行きたくない〜!」。
保育園では「恥ずかしい…」。
結果、便意を我慢してしまうのです。
我慢が続くと、腸は「便を出さなくていい」と勘違い。
うんちはどんどん硬くなり、出すのが痛くなり、ますます行きたくなくなる——負のスパイラルの完成です。
② 食べる量・水分が足りない
小食のお子さん、野菜を敬遠するお子さん、水よりジュース派のお子さん。
食物繊維と水分が足りないと、便はスムーズに動きません。
“腸のウォータースライダー”に水が流れていない状態です。
③ 排便習慣ができていない
トイレトレーニングの途中だったり、生活リズムがバラバラだと、腸も迷子になります。
体はリズムで動いているので、「決まった時間に座る」だけでも大切な訓練です。
■ おうちでできる便秘対策 〜今日からできること〜
ここからは、家庭でできる実践的な工夫をご紹介します。
ポイントは「がんばりすぎない」こと。
便秘対策は“育児の筋トレ”のようなもの。コツコツ続けるのが大事です。
🥕 1. 食物繊維を「おいしく」摂る
「繊維=野菜=嫌い」という方程式を崩しましょう。
おすすめは、
- さつまいも、かぼちゃ、バナナなど甘くて食べやすいもの
- きのこやわかめを“味噌汁の具”でこっそり投入
- 朝食のパンを全粒粉にしてみる
など、“頑張らずに摂れる繊維”を意識しましょう。
💧 2. 水分は“ジュースでなく水かお茶”
意外と盲点なのが水分不足。
「麦茶いや〜」という子には、ストローやお気に入りコップで“飲む楽しみ”を演出するのも手です。
便は水分が命。腸にやさしい“うるおい”を与えましょう。
🚽 3. 「毎朝トイレタイム」を作る
朝食後がベスト。われわれも同じように一定の落ち着いた状況になると便意を催すことを経験します。こどもも同じく、出やすい環境、ルーティンを作ってあげることがいいですね。
食べると腸が自然に動き出すので、5分でもトイレに座る習慣を。
出なくてもOK。まずは「座ること」が大事です。
おまるや踏み台を使って“踏ん張り姿勢”を作るのもポイントです。
足がぶらぶらしていると力が入りません。
🎯 4. 成功をほめよう!
うんちが出たら、ぜひ“全力でほめて”ください。
「よく出たね〜!」「スッキリしたね!」
時にはシールを貼ったり、カレンダーにうんちマークを描くのも◎
「うんちは恥ずかしいもの」ではなく、「出ると気持ちいいこと」と刷り込むのがポイントです。
■ 薬って使ってもいいの?
「薬を使うのは抵抗がある」という声をよく聞きます。
でも、こどもの便秘治療に薬を使うことは決して“負け”ではありません。
便が硬く痛い状態を放置すると、肛門が切れたり、「うんち=痛い」と学習して、さらに出せなくなってしまいます。
この悪循環を断ち切るために、**“一時的に薬で助ける”**ことはとても大切です。
最近は、体にやさしいタイプの下剤(酸化マグネシウムやラクツロースなど)が主流です。
「飲んだらすぐ出る爆弾」ではなく、「うんちをやわらかくして出やすくするお手伝い」をしてくれます。
自己判断でやめずに、医師と相談しながら“腸のリハビリ”を続けるのがコツです。
■ 便秘の裏に隠れているもの
ほとんどの便秘は生活習慣で改善できますが、なかには注意が必要なケースもあります。
- 便に血が混じる
- 体重が増えない
- 生まれた直後から便秘気味
- お腹がいつもパンパンに張っている
こうした場合は、器質的な病気(腸の形や働きの異常など)が隠れていることも。
長引く便秘は、早めに小児科へ相談してくださいね。
■ 「うんち」って、育児のバロメーター
子どものうんちは、まさに“健康の鏡”。
食べたもの・飲んだもの・動いた量・睡眠・ストレス——ぜんぶが便に現れます。
私は外来で、
「うんちは毎日出てる?」と聞くと、
「先生、昨日はバナナうんちでした!」
「今日は“おもち型”でした〜!」
なんて報告が返ってきて、思わず笑ってしまうことがあります。
その一言に、ママたちの観察力と愛情がぎゅっと詰まっています。
だから、ぜひ今日もお子さんに聞いてあげてください。
「うんち出た?」と。
それは、いちばんやさしい健康チェックなんです。
おわりに
こどもの便秘は、決して珍しいものでも、恥ずかしいことでもありません。
少しの工夫と気づきで、腸はちゃんと応えてくれます。
“うんち”はちょっと笑える話題だけど、
その笑顔の裏に、子どもの体と心の健康がちゃんと隠れています。
今日も元気に、いい“うんち日和”になりますように!
