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こどもの「ドキドキ」、大丈夫? ―小児期に見られる不整脈のおはなし―

「うちの子、心臓がドキドキしてるみたいで心配です…」

「学校入学時検診で心電図異常って言われた…」

外来でそんな相談を受けることがあります。

“心臓”や“不整脈”という言葉を聞くと、親としてはドキッとしますよね。

 

でも実は――こどもの不整脈は、大人のそれとは少し違うんです。

多くの場合、**成長の途中で見られる“元気のしるし”**でもあるんですよ。

 

■ 不整脈ってどんなもの?

 

心臓は大人だと1日に約10万回も規則正しく動いています。新生児は20万回、学童児はその間くらいなんです。

このリズムをコントロールしているのは、心臓の中の「電気信号」です。

 

不整脈とは、その電気の流れが一時的に乱れて、

心臓の動きが「速くなったり」「遅くなったり」「一瞬止まったり」することを指します。

 

ただし、不整脈=病気とは限りません。

こどもの場合、リズムの変化が起こりやすくても、

それが正常の範囲であることがとても多いのです。

 

■ こどもの心臓は“元気すぎる”くらいが普通!

 

こどもの心拍数は、大人よりずっと速いのが普通です。

赤ちゃんでは1分間に120〜160回、学童期でも80〜100回ほど。

これだけ速く動いていると、リズムが揺れやすくなるのも当然ですね。

 

さらに、こどもは自律神経(体のリズムを整える神経)の働きがまだ未熟です。

そのため、吸うと速く・吐くと遅くなるという「呼吸性不整脈」がよく見られます。

 

このタイプの不整脈は“病気”ではなく、

元気な証拠。成長とともに自然に落ち着いていきます。

 

■ 注意して見ておきたい不整脈もあります

 

もちろん、すべての不整脈が無害というわけではありません。

中には、きちんと検査・治療が必要なタイプもあります。代表的なものを少し紹介します。このような場合は詳しい先生とどのように日常生活を送ったらいいか相談が必要ですので是非、相談にいらしてください。

 

  • 心房性(心室性)期外収縮

 

一定のリズムで刻んでいる途中で1拍だけタイミングがずれて心房(もしくは心室)から電気活動が起こります。

脈が1拍とんだような自覚や、スキップしたと感じることも。

多くの場合は安静時にでやすく、興奮や運動で自身の脈拍が早くなるとひっこんでしまう(良性)ものがいいです。しかし、運動と連動して出やすくなるタイプもありますので検査しておくといいでしょう。

 

  • 発作性上室性頻拍(PSVT)

 

突然、心拍数が200回以上になることがあります。

乳児では顔色が悪くなったり、ぐったりすることも。

内服治療でコントロールする場合と、カテーテル手術で完全に治す場合があります。しっかり把握して専門の先生に診てもらえば治る病気です。

 

  • 先天性QT延長症候群などの遺伝性不整脈

 

心臓の“電気活動は陽イオン(カリウムやナトリウムイオン)を細胞内に出したり入れたりすることで行われます。その、イオンの出入り口に関わる遺伝子の異常で起こります。

強い運動や驚いたときに失神してしまうことがあり、家族に突然死の既往がある場合などは、注意が必要です。多くの場合は日常生活での注意するポイントをしっかり押さえることで楽しく過ごせます。

 

  • 徐脈(心拍が遅いタイプ)

 

先天性房室ブロックといって、生まれる前から脈が遅いことがあります。このような場合は胎児期の超音波検査で分かっていることが多く、多くの場合は生後早期にペースメーカーの手術を受けることがあります。また赤ちゃんのころの心臓手術後などにも見られます。重い場合はペースメーカーでサポートすることもあります。

 

■ どうやって見つかるの?

 

多くの場合は、学校健診や手術前の心電図などで偶然見つかります。

「要再検査」と言われて焦って受診されたら、

実は呼吸性不整脈だった――ということも少なくありません。

 

心電図は“その瞬間”の心臓の動きを見ているだけなので、

たまたまリズムが変化している時に撮ると、異常のように見えることがあります。

 

大切なのは、「症状があるか」「繰り返すか」。

必要に応じて、24時間の心電図(ホルター検査)などで詳しく調べます。

 

■ 家庭で気をつけてほしいこと

 

お子さんの様子を見ていて、

 

顔色が悪い

 

息苦しそう

 

急に倒れた

 

胸が痛い・ドキドキすると訴える

 

こんな場合は、早めに受診してください。

 

もし可能であれば、発作時の様子をスマホで撮影したり、

脈を測ったりしておくと、診察の際に大変役立ちます。

 

最近では、スマートウォッチで脈拍をチェックできることもあり、

こうした情報が診断のヒントになることもあります。

 

■ 「様子をみましょう」は“放置”ではありません

 

小児の不整脈で、医師が「しばらく経過を見ましょう」と言うと、

「何もしてくれないの?」と感じるかもしれません。

 

でもそれは、“自然に良くなる可能性が高い”からこそです。

不要な薬や検査を避けつつ、成長に合わせて変化を見ていくのが小児医療の基本です。

 

もちろん、気になることがあればいつでも相談してください。

ご家庭での安心感こそ、こどもの回復を支える一番の力になります。

 

■ 成長とともにリズムも整っていく

 

こどもの心臓は、日々成長しています。

電気の通り道や神経の働きも、少しずつ大人の心臓へと近づいていきます。

多くの不整脈は、成長とともに自然に消えていきます。

 

「うちの子の心臓、ちゃんと動いているかな」と不安になる気持ちは当然ですが、

ほとんどのケースで、**“心臓が練習している途中”**なんです。不安な場合は簡単に検査でき桝野相談してください。

 

■ おわりに

 

こどもの不整脈の多くは、怖いものではありません。

「ドキドキしてるけど、元気そう」

「健診で指摘されたけど、再検で問題なし」

そんなケースが実際にはたくさんあります。

 

もし気になることがあれば、いつでもご相談ください。

私たちは、お子さんの“心のドキドキ”も“心臓のドキドキ”も、

どちらも安心して過ごせるようにサポートします。